伊勢いも [フード]
昨年暮れに名古屋からいらしたお客様にお土産に「伊勢いも」を頂きました。直径10センチもあるごつごつしたこぶしのような立派なつくね芋です。長いもと違ってとても粘度のあるお芋です。通常「とろろ」に最適といわれますが、私はさらっと仕上がる長いもの方がとろろには好きなので、いつものように「揚げとろろ」にしたり、煮物にしたり、そのまま揚げたり、焼いたり色々楽しませていただきました。一番美味しかったのが、伊勢芋1個を皮を剥きすりおろし、お酒、味醂、塩で軽くお味をつけ、そこに柚子を加え紫蘇にくるんで揚げた「揚げとろろ」。ふわっと軽い口当たりのおいもは、噛むとほのかに紫蘇と柚子の香りが鼻に抜け、心地よい塩気とおいもの甘みが口中に広がり、我ながら絶品でございました。
このやまいもですが、同じ素材なのに地方によって呼び名が違ったり、勘違いされたりする素材の代表選手です。まず、自然薯。日本原産で山や野に自生しているもので直径2,3センチの細く長いくねくねしたおいもです。ひげも沢山ついていて、皮を剥いたら食べる所がなくなってしまいそうな様態。たわしで良く洗ったら直火でひげを焼ききって調理します。あくが強いのですぐ色が変わりますが、それを上手く利用するとごぼう風・椎茸風・ときに松茸もどき・・・などわが事務所のスタッフも結構だまされたのでした。その自然薯が栽培用になったのが長いも。まっすぐで太さ5センチくらいの最もポピュラーなもの。栽培量の2/3をしめます。そして扁平な形の銀杏芋。手のひらのような形をしていますが、関東ではこれを大和芋といって売っております。ところが関西地方にいくと大和芋というのはごつごつしたつくね芋のことを言います。奈良で多く栽培されていたから大和芋と言うともいわれていますが、丹波いも、加賀丸いも、そして伊勢いもも皆つくね芋です。じょうよ饅頭や鹿児島の銘菓かるかんはこのつくねいもから作られます。
さて、このやまのいも 炭水化物分解酵素のアミラーゼをふくみ消化吸収の強い見方です。加えてムチンを沢山含むので滋養強壮に優れているとされます。江戸時代の養生訓には精がつきすぎて世の中の男女関係の乱れを心配したなんて件があるとか。寒の入りのこの寒さを乗り切るだけの精がついているといいナーと真剣に思う寒さにめっぽう弱い馬場なのでございます。
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